「世間の常識」がお金持ちへの道を妨げる
社会人になって、誰もが言われたことのある
「貯蓄はしているの?」
「将来のことを考えて積立はしないといけないよ」。
さらには、「長期の積立は定時定額購入方式を使えばより安く、より多くの財産を築くことができる」というハイレベルな提案までも経験された方はいらっしゃると思います。
その前提となっているのが『貯めて使う』という、誰もが知っているあたりまえの常識です。
しかしながら、私は、『貯めて使う』は大間違いだと25年以上言い続けてきました。
非常識だと思われるかもしれませんが、この世間の常識との違いが「時間とお金のゆとり」を手にするか否かの分かれ道なのです。以降、それを検証してまいりましょう。
「積立投資」の効果と欠点
毎月強制的に銀行口座から引き落とされる積立は、「なかなか貯蓄ができない」と思い込んでいる方には、毎月の「積立可能額」の算出を行う手間もなく楽にできると感じます。
なおかつ、少額でも可能となれば、気軽にやってみようという気持ちになります。
つまり、「①お金のことを考えなくて ②知らず知らずのうちに自動的に ③積立ができる」という効果があると思われがちです。
しかし、「始めること」には有利なのですが、④目標金額の設定もあいまいになりがちで、⑤満期(積立完了時)まで引き出し制限があることが多く、さらに⑥強制的に積立てるため、収入からではなく、他の財産の取り崩しを行ってまで積立てる危険も含んでいます。
仮に、積立を活用するのであれば、㋑満期(払い込み完了時)まで、ずっと積立てられる金額を設定すること ㋺積立金額だけでなく、すでに積みあがった資金の定期的検証を怠らないこと を前提にご活用ください。
「ドルコスト平均法(定時定額購入)」は万能ではない
ドルコスト平均法は、価格が下落や変動している状況では効果は絶大ですが、一定もしくは上昇局面では効果が出ません。価格上昇局面の場合は、むしろ一括払い(一時金)のほうが有利なのです。
日本が高度成長を迎えた時代は、常に株式市場や不動産価格が上昇していたので、世の中では「一時払い養老保険」や「住宅の頭金」が大ブームとなりました。
その後、市場価格が不安定な時代を迎え、また長期デフレで史上空前の低金利時代を迎えると、「定時定額購入(常に一定金額の買い付けを行うことで、価格の高い時には自動的に買い控え、価格の安い時には自動的により多く購入することが可能)」や、「頭金なしの住宅取得」が台頭してきました。
このように、まるで積立や定時定額購入が将来の財産形成のとっておきの策のようにPRされていますが、環境の変化に応じて、家計の状況に合わせて、「積立と一時金」を共に活用することが大切なのです。
ドルコスト平均法に代表される積立投資は万能ではない。
一時金のメリットと併せて活用すること。